新府城① 武田流築城術の技巧を集結させた未完の城

二ノ丸は本丸の次に高い位置にある。本丸からゆるく下がった通路を歩く。

新府城 本丸から二ノ丸へ
本丸から二ノ丸へ
新府城 二ノ丸へ
二ノ丸へ

二ノ丸を案内する看板が立っているけど二ノ丸は後で。この道を入っていくと二ノ丸だけど、日が落ちそうなのでこの通路を行かず、写真からは見切れている左側の道を進み、三ノ丸を通り越して丸馬出へ急ぐ。

三ノ丸

三ノ丸は本丸の次に大きな曲輪で、大きな台形のような曲輪。三ノ丸は間に曲輪を分ける土塁があり、西と東の曲輪に分かれています。

新府城 三の丸の間の仕切りの土塁
三の丸の間の仕切りの土塁

写真は西三ノ丸側から見たところ。写真の奥に見えるのが土塁で、その奥に東三ノ丸が広がっています。
人が入った形跡がほとんど無い藪だったので中までは入らず。

新府城 西三ノ丸
西三ノ丸

三ノ丸は一部のみ発掘調査をしているそうですが、建物の痕跡はなかったとのこと。甲府への道を抑える良い立地で勝頼が居住することを想定して大きく作りすぎたため、巨大すぎて徳川もそこまで手がまわらなかったのかもしれない。

三ノ丸の下の方を半円を描くようにぐるりと回る。その下はさらに一段下がっている。本丸からずいぶん下がってきたなぁ。

大手桝形虎口

もうすぐ大手の桝形だ。と降りていったら・・・え?
なんか工事中?

新府城 大手門桝形への入口
大手桝形への入口

この1年後の2021年の3月に行った時は、きれいすぎるくらいに整備されていました。工事用の車両を通す鉄板が気になるけれど、これも外されていました。

 

新府城 大手門跡
大手門跡

写真は大手門の桝形の中から丸馬出方面を写したもの。この桝形内をの撮影は丸馬出に気をとられて忘れました・・・。

桝形内から振り返って三ノ丸側を眺めたところ。工事車両が・・・。

新府城 大手門桝形内から東三ノ丸方面を撮影
大手門桝形内から東三ノ丸方面を撮影

縄張図を見ると大手口と記載されているけど、子の大手からは礎石や門があった遺構は確認されていないとのこと。巨大な丸馬出を造った段階で「いったんこれでよし」ということになったのだろうか。

何はともあれ、丸馬出へ進む。

 

丸馬出

武田の城にはよくある丸馬出諏訪原城には行ったことがあるのでその大きさには覚悟があったけど、

新府城 丸馬出から見た三日月堀
丸馬出から見た三日月堀

丸馬出が想像以上にでかく、高く造成されていた!

いや、確かにでかくて驚いたよ。でもそれ以上にこの高さに驚いた。

新府城 丸馬出と三日月堀
丸馬出と三日月堀

一番高い本丸から二ノ丸、三ノ丸とだんだんと下がってきたけれどさらにずーんと下がっている。
三日月堀があることによって敵が入ってくる道が狭まり狙いやすくなる。

新府城 三日月堀
三日月堀

テンション上がってるわりには写真が少なめ。
というのも、この舗装された三日月堀の先の通路に呆然としてしまったから。
丸馬出から眺めたときに「うわぁ・・・・・あ゛?」と一同絶句。なんだこの舗装は!?

えぇ。観光客が増えるということは良いことだし、遺構を保護する意味合いでも整備は必要。
とはいえ、なんだこれは?!と一同黙り込む。このままこの写真をTwitterやSNSにUPしたら物議を醸しだすことになろう。まずは完成形を見極めるまでは黙っておこう、と各々が思い、誰も口に出さなかったけどSNSにUPしなかったという結束力
も・・・もしかしたらこのうえにウッドチップが敷かれて違和感ないように整備されるかもしれないし。

安心してください。1年後に行った時はこんなコンクリむき出しではなく、いい感じに仕上がってました!

新府城 2022年4月訪問時の丸馬出
2022年4月訪問時の丸馬出

 

そして、新府城は夕暮れ時に一度は来てみても良いかもしれないと思わされた一枚。

新府城 大手跡
大手跡から見えた夕暮れの富士山

本丸から眺めた八ヶ岳といい、大手・丸馬出から眺める富士山といい、夕暮れに染まる山がきれい。
新府城は外灯がないので遺構を見るのが目的だと日没前には撤退したほうがよいのだけど、夕暮れ時もなかなか趣が深くてよいです。

 

>>二ノ丸、井戸、そして近世城郭のような乾門桝形編へ続く

 

新府城

  • 住所:山梨県韮崎市中田町中條
  • アクセス:JR中央線新府駅から徒歩約20分
  • 営業時間: –
  • 駐車場:あり 30台 新府公園駐車場

 

武田氏滅亡後、そして織田信長の死去後の関東・甲信越で勢力ががらっと変わっていく様はとてもドラマチック。
この順番でまわると、北条が陣取った城→徳川が陣取った城と位置関係がわかって面白いです!
笹尾塁(北条)
若神子城(北条)
能見城(徳川)
新府城(徳川)
武田信玄が死去してすぐに織田信長も本能寺の変で死去。その後の混沌とした甲信越地方の徳川、上杉、北条の勢力争いについては平山優先生の「天正壬午の乱」が詳しいです。各勢力がどのように攻め入ったかの臨場感を感じながら読み進めることができます。
ちょっと難しいということであれば、能見城の発掘報告書に平山先生が寄稿しているので、そちらから読んでみることをお勧めします。

 


武田の城めぐり おすすめな本


武田氏滅亡
辞書のような分厚さの本に、武田氏が滅亡に至るまでや、どのように追い込まれていったかが濃縮されている一冊。
管理人もただいま平山先生の講座を受けつつ勉強中!
なお、大石泰史先生の「今川氏滅亡」と合わせてKindleで【2冊 合本版】『武田氏滅亡』『今川氏滅亡』として配信中。2冊買うならこのKindle合本版だと安くなるのでおすすめです!

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