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新府城

新府城とは

武田勝頼が築いた甲斐武田氏による最後の城で、天正9年(1581年)2月15日着工、9月頃完成。(とはいえ未完成。)
織田・徳川連合軍の侵攻によってそれまで本拠としていた躑躅ヶ崎館を退き、100m以上もある七里岩の台地の絶壁に建てられたことも武田氏を取り巻く状況が鬼気迫っていたことがわかる。

当時、甲府への道はこの七里岩台地の上に集約されていたため、甲府への道を抑えるには良い選地。甲府の館からの移転先ということで武田勝頼が居住することを想定していたため、とにかくでかい。東京ドーム5.5個分!
織田・徳川連行軍の侵攻スピードに合わせて急いで築城したがあまりの巨大さに間に合わず、武田最後の城にして未完の城となりました。

近年発見された『真田昌幸書状(真田宝物館所蔵)』新府城の普請に関する唯一の資料で、
新御館(新府城のこと)という記載があったり、

何も自家十間人足壱人宛被召寄候
 人足は家10軒に対しひとり
御普請日数三十日候
 普請の日数は30日

という記載が残っています。

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新府城の遺構と見どころ

新府城は本丸を中央とした東西南北すべてに見どころがある城!本丸と南の大手の丸馬出を見ただけではもったいないです!

  • 北東側 国道17号を挟んだ堀跡。新府城駐車場からは歩いてすぐです。東側桝形の跡がくっきり残っています。
  • 南東側 新府城といえば大きな丸馬出三日月堀!そして大手桝形虎口も喰い違っている様子がしっかりとわかります。
  • 西側 発掘してもしきれなかったほどの巨大な井戸。その先には搦手だった乾門の桝形があり、喰い違い虎口も見どころです。
  • 北西側 乾門を出たところの土橋に大きな水堀。さらに歩くと見えてくる用途が謎だった2つの出構(でがまえ)

三ノ丸は二つに仕切る土塁以外はほぼ手付かず。逼迫していた状況が手に取るようにわかる。

駐車場から見学すると北側ルートの2つの出構から入っていくことになるけれど、この順番でまわると新府城の見どころはすべてまわることができます!

武田勝頼は未完成だった新府城に籠っては戦えないと判断し、焼き払って岩殿城へ向かったわけで、もし新府城が完全体だったらどのような姿になっていたのだろう?と、想像が膨らむ城です。

武田氏が滅亡した後の天正10年(1582年)に起こった天正壬午の乱で徳川が北条と争うために陣城として一時的に利用された際に改修が入ったと思われますが、火を放ったあとでも再利用できるほどの良い城だったのでしょう。

ということを考えながらまわるとさらに面白くなります!

立地について

七里岩台地の上に築かれた新府城。新府城周辺からはどこに行くにも七里岩に陣取るのが良かったんだと実感。七里岩台地上に甲州街道が通り、西は釜無川と観音ヶ岳、東は塩川と曲竹の谷間にありつつ、なおかつ新府城はさらに七里岩台地の中で高まったところにある。
Googleマップで見ると、この延長上に城が築かれたというのも納得。

Googleマップで見た新府城
Googleマップで見た新府城

ピンが立っているところが三日月堀。「新府城」と地図上に描かれている本丸からけっこう距離があるのね。

新府城 縄張図

新府城 縄張図

韮崎市教育委員会「風林火山の世界 新府城と武田の里」P.6より

縄張り図ではよくわからないという方には、本丸の看板にある新府城図の想定復元図がわかりやすいです。

新府城 本丸にある想定復元図
新府城 本丸にある想定復元図

 

新府城 基本情報

  • 築城年:天正9年(1581年)
  • 廃城年:天正18年(1590年)
  • 築城主:武田勝頼
  • 種類:平山城 連格式・梯郭式
  • 天守:なし
  • 主なタイトル:続日本100名城
  • 主な遺構:土塁、井戸、三日月堀、丸馬出、掘
  • 文化財指定:国史跡
  • 所在地:山梨県韮崎市中田町 中条字城山
  • アクセス:JR中央線 新府駅から徒歩約15分。
  • 駐車場:
  • トイレ:無し 韮崎市民俗資料館で続日本100名城のスタンプを押すときに立ち寄るのがおすすめ
  • 売店・食事処など:無し 本丸はレジャーシートをしいてランチするのにおすすめなので、お弁当を買って行こう!(ゴミ箱はありません)
  • 女子城メグラー 難易度:★★★★☆
    新府駅から少し歩くのでアクセスは悪いが城内は整備されていて、遺構もわかりやすい。起伏もあまりないので歩きやすい。

新府城 続日本100名城スタンプ

韮崎市民俗資料館で続日本100名城スタンプは押すことができます。

 

新府城 城めぐり記録

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