棚底城 三重堀と堀切はお見事!整備される前の「今」行くべき城! ~島原・天草の城めぐり(13)

島原・天草の城めぐり。天草下島から上天草に入り、棚底城へ。棚底城は天草を代表する中世山城のひとつで14世紀から16世紀後半まで利用されていました。曲輪が8つもあるうえに、ところどころ石積みも残っていてさらに三重堀もあるということで楽しみにしていました。

棚底城とは

天草五人衆のうちのひとり、上津浦氏の城。1544年には上浦津氏の一族が在城していたとのこと。
戦国時代には栖本氏と争いがあり、弘治2年(1556年)からしばらくの間は栖本氏の城となったものの、永禄3年(1560年)に上津浦氏が奪還したという記録に残っています。数十年前まではたばこ畑として利用されていて、一部整地をしたり農道を作ったりと遺構が破壊されているものの、土塁や石積み、空堀などの残り具合は良いです。

棚底川がつくった扇状地を見下ろす倉岳にある平山城。曲輪IからVIIIまでが一直線に連なる連郭式の縄張で全長は355mあります。
見どころは曲輪Iの北から東にかけての三重堀。実際歩くと案内も少なくてわかりにくいです。三重堀を含めて全体像を把握するには、棚底城の入口の看板のところに置いてあるパンフレット内の地図がわかりやすいです。

 

棚底城 パンフレットより
棚底城 パンフレットより切り出し

見学ルートも描かれていてわかりやすい。
見どころである曲輪Iの三重堀ですが、北側に二重堀、それに少し重なって東側に長い横堀がある。かつては三重に堀がまわっていたのかな?と歩きながら考えていたら、

棚底城 案内図
棚底城 案内図

棚底城の案内板にあった縄張図を見ると、かつてはきれいに三重に囲まれていたようだ。この二つの地図を参考にしながら歩くのがおすすめです。
ちなみに、登城口から曲輪Iまで約10分とありましたが、普通に歩けばそのくらいで行ける距離感。曲輪をひとつひとつを確認して写真を撮って、三重堀を見に降りて・・・というまわり方だと、まぁ10分じゃ全然足りないです。

2017年に棚底城の整備計画が発表されていて、曲輪Iは平面復元をしたり、曲輪IIには東屋を設けたりとだいぶ変わります。整備が入っていない城の状態を見るなら今がチャンスです!

 

棚底城へ

昭和に作られた「城ノ後池」の脇に城址碑と車を停められるスペースがあります。といっても車の出し入れを考えると停められるのは2~3台かな。

棚底城 城址碑
棚底城 城址碑
棚底城 整備中
登城路は整備中でした

登城路(これは現代に造られた農道)を登るとVIIIの曲輪に到着します。

 

曲輪VIII

駐車場から登ると最初にたどり着く平場が曲輪VIII

棚底城 曲輪VIII
棚底城 曲輪VIII

曲輪VIIIからは麓の棚底集落の暴風石垣を備えた家が並ぶ景色が見えるらしいが、雨の中の傘をさしての行軍でその余裕はない!

曲輪VIIIは東西に長い曲輪。発掘調査では建物跡が検出されたり、曲輪中央のトレンチ調査では堀切が検出され、曲輪VIIIの東側は独立した出曲輪だったと考えられているそうです。

以前に棚底城に訪れた人の写真と比較すると、木が伐採されて整備が進んでいるようでした。以前は「VII郭」という木にかけられていた案内もないので「これ、どこだっけ?」と、記憶と写真の撮影日付と散策ログと照らし合わせてます。

 

曲輪VII

棚底城 曲輪VIIの石積み
曲輪VIIの石積み

曲輪VIIのまわりには崩壊しているけど野面積みの石積みがめぐらされている。
棚底城はこのように石積みが各所に見られるけど近世以降にたばこ畑として利用されていたこともあり、土留めの可能性も考えるとよくわからないようです。

曲輪VIIを囲む石積みが中世のものだったとしても、たいして高さは無いので防御のためというよりは曲輪として整地するうえでの土留めだったかもしれない。

棚底城 曲輪VIIの石積み
曲輪VIIの石積み

曲輪VIIの石積みは崩壊していて曲輪VIIに上がるには女性の足で2歩分くらいの高さ。従来もさほど高さはなかったのであろうか?

曲輪VIIの石積み
曲輪VIIの石積み 奥には曲輪VIが見える

右側にぐるっとまわってみるとさらに崩壊している。裏込め石は見られない。

 

棚底城 曲輪VIIの石積み
曲輪VIIを囲む石積み。奥には曲輪VIの石積みも

曲輪VII、曲輪VIの南側を歩いていく。

曲輪VIIの脇を歩く
曲輪VIIの脇を歩く

 

曲輪VI

そういえば曲輪VIIから曲輪VIの段差の石積みは低いというか「薄かった」な。曲輪VIは奥まで行かず、歩道に沿ってそのまま曲輪Vに入ったので写真はありません。

 

曲輪VIから曲輪Vに入るところもトリッキー。ここを左に入らずまっすぐ行くと曲輪VIがまだ広がっているのだけど、左に曲がって曲輪Vに入ります。

棚底城 曲輪VIから曲輪Vへ
曲輪VIから曲輪Vへ

 

 

 

曲輪V

曲輪Vは棚底城では小さな曲輪。それでも曲輪VIとは段差もあり、良い位置取りですなぁ。

棚底城 曲輪V
曲輪V

曲輪Vと曲輪IVの間の切岸。これがまたいいんだ!

棚底城 曲輪Vから曲輪IVの切岸
曲輪Vから曲輪IVの切岸

そして切岸の上部には石積みが残っている。これはさすがに農地として使った名残ではないだろう。

 

棚底城 曲輪IVからの眺め
曲輪IVから曲輪Vを眺める

 

棚底城は三重堀だけじゃない!切岸も見事です!

棚底城
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