熊本城① 絢爛豪華な御殿 震災前の2009年7月訪問記

この旅のメインイベント、2008年に復元されたばかりの本丸御殿へ。なお、写真は2009年夏に撮影したものです。

本丸御殿

熊本城 本丸御殿
本丸御殿

闇り通路と闇り御門

本丸が手狭になってしまい、曲輪を囲む石垣をまたがるように建てられた本丸御殿。その下は「闇り通路(くらがりつうろ)」と呼ばれる通路になっている。

熊本城  御殿の闇り通路へ
本丸御殿 闇り御門

本丸御殿への入口となる闇り御門は上部に唐破風がある変わった面白い造り。
中に入ると昼間でも真っ暗。外から進入してきた敵は真っ暗なところに入り、目が慣れたところでこの通路を出ると一気に明るくなってある意味目くらましとなる。外から入ってきてこんな真っ暗だったらかなり怖い。

熊本城 闇り通路
闇り通路

この通路の上に御殿が建っているとは思えない!はつった天井の梁が美しいのが印象的。

熊本城 城主が使った御殿地階の階段
城主が使った御殿の地階の階段

一段高くなり、床板が張られたところには階段がある。これは玄関の一部を再現したもので、御殿への正式な入口。当時は城主はこの玄関から出入りしていたそうだ。一部といわず、全部再現してほしい!
この階段を上がると地下と1階の間に廊下と14畳ほどの広さの玄関があって、さらに階段を上がると1階大広間の式台之間と鶴之間に通じていたという。

 

大御台所

御殿内は自然光が入っているところはきれいに撮影できたのですが、当時のデジカメでは暗いところは撮影が難しく、かなりブレています。

熊本城 本丸御殿 台所
本丸御殿 大御台所

台所に入ると土間と竈があり、階段を上がった一段上には石造の炉がある板敷の間があります。

目を引く2つに平行に並んだ長方形の炉は副菜を調理していたもの。炉の壁や底の石の一部は発掘で見つかったものを利用して復元しているそうです。飯炊きや湯沸かしは土間の竈(かまど)を使っていたんだとか。

熊本城 本丸御殿 台所
本丸御殿 大御台所 2つの炉

 

大広間

儀式や行事が行われていた対面所へ。大広間は鶴之間、梅之間、桜之間、桐之間、若松之間と連なり、襖で仕切られていました。

一番広い60畳もあった鶴之間の手前には式臺の間(しきだいのま)があり、闇り通路の玄関から上がる階段がありました。藩主は闇り通路の階段から上がるとこんな簡単にショートカットできるのね。

本丸御殿の大広間は広縁(縁側)に沿って部屋がならんでいて、襖を開けると若松の間までつながります。

熊本城 本丸御殿
本丸御殿 梅之間

梅之間から若松の間まで見通す。梅之間は35畳もあったというけど、そんなに広く思えないくらい規模感がおかしくなっているけど、ひとつひとつの部屋は広いのよ。

熊本城 本丸御殿 広縁
本丸御殿 広縁

 

熊本城 本丸御殿
本丸御殿 広縁からの眺め

この写真を撮った大広間の向かいには小広間の建物が建っていました。その間はおそらく庭だったんだろうな。縁側に座って眺めていたい。

向かって右奥に小広間西三階櫓が建っていて、その下が本丸を広げるために増設したいわゆる「二様の石垣」の場所です。

熊本城 本丸御殿 桐之間
本丸御殿 桐之間

 

絢爛豪華な若松之間と昭君之間

そして本丸御殿のメインイベント「若松之間」「昭君之間(しょうくんのま)」。「週刊 日本の城」によると、この二間と昭君の間から続く帳台の間の部分までが清正時代の建物と考えられているらしい。

大広間では、正君の間とその南側の若松の間が、清正時代の石垣に載っていて、さらに桐の間と帳台の間を加えた部分までが、清正時代の建物であろうと考えられる。しかし、当時の建物が西南戦争時に焼失したため、確かめられない。

週刊 日本の城

 

 

熊本城 本丸御殿 若松の間からの昭君の間
本丸御殿 若松之間からの昭君之間

手前が若松之間。他の部屋と違ってゴージャスなのは、儀式の際に若松之間から鶴之間まで横にぶち抜いて使う際には、藩主がいた場所だから。
襖や壁に描かれた若松の絵の周りはきらびやか。18畳もある部屋の天井は格式の高い折上げ格天井。これだけでもすごいと思うのに、その奥の昭君之間はもっとすごかった!

 

熊本城 本丸御殿 昭君の間
本丸御殿 昭君の間

大広間の一番奥にある昭君の間。中国前漢の元帝の時代の悲劇の美女「王昭君」の故事が描かれた雅なお部屋です。王昭君・・・将軍=豊臣秀頼。有事の時には秀頼を匿うために作られたという逸話が残るこの部屋は、床の間、違い棚、帳台構(ちょうだいかまえ)、付け書院とフル装備なうえ、天井もきらびやかな格天井。さらに畳は中央付近で一段上がっていてさらに身分が高い人が座るようになっていることからもそのエピソードが語られるのも納得です。

熊本城 本丸御殿 昭君の間の襖絵
本丸御殿 昭君の間の帳台構の絵

光が足らなくてぶれてしまったけど帳台構に描かれた絵。襖や壁面に描かれたこれらの絵は、画題と絵師は伝わっていたものの、絵そのものの下絵は残っていなかったそうです。「王昭君」は楊貴妃など中国の古代四代美女のうちのひとり。でも確か悲劇の女性じゃなかったっけ。そう考えるとちょっと縁起が悪い気もする。

熊本城 本丸御殿 昭君の間の格天井
本丸御殿 昭君の間の折上げ格天井

折上げ格天井の格間(こうま)に描かれている草木は白黒のスケッチは残っていたそうです!それをもとに描かれたそうな。

 

数寄屋(茶室)

大広間の奥には当時の迎賓施設では欠かせない茶室も。中には入れないので外から撮影。

これも光が足らずにブレてしまった。茶室には珍しい細長いお部屋でした。主と客人の間が遠そうだな。10人くらいもてなせるように作られていたのでしょうか。


天守編に続く

 

熊本城 特別史跡

  • 住所:熊本県熊本市中央区本丸1-1
  • アクセス:熊本駅から市電、バスを使って約30分。熊本周遊バス「しろめぐりん」が便利。1日乗車券(大人400円 小児200円)なら城彩苑、細川刑部邸、博物館など主要観光スポットの割引付きです。
  • 駐車場:二ノ丸側、三ノ丸側、桜の馬場観光交流施設など周辺にもあります。

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