2025年4月1日に大阪城でオープンする「豊臣石垣館」。
首を長くして待ち続けていた豊臣期の石垣。一般公開に先駆けて、内覧会に参加してきました。
大阪城 豊臣石垣館とは?
大阪市が豊臣石垣館を作るために「太閤なにわの夢募金」で寄付を募集しているのですが、2022年にはクラウドファンディングでの募集がありました。そのリターン(返礼品)として、建設中の「豊臣石垣館の内覧会への参加」があり、今回はその招待を受けて行ってきたというわけです。
「太閤なにわの夢募金 クラウドファンディング」の企画内容についてはこちらをどうぞ!
大阪市がすすめている「太閤なにわの夢募金」。通常の寄付に加えて令和4年度の寄付金募集企画が始まっています!現在実施中のクラウドファンディングは2022年12月31日までの超短期の募集です! 大阪城は豊臣秀吉時代の大阪城の破壊後に盛り土[…]
豊臣期の石垣について
現在の大阪城は豊臣秀吉時代の城を崩して埋めて盛り土をしたところに徳川が建てたもの。それが今、私たちが見える範囲の大阪城です。
それが発掘とは別の目的で掘ってみたら、なんと豊臣期の石垣が埋まっていた!
公式サイトに豊臣期、徳川期の大阪城の本丸を重ね合わせた図があって、発見された石垣がどの部分だったのか?がよくわかります。
豊臣石垣館にも展示室に入るとすぐに同じ図があるので、ぜひじっくり見てから石垣の展示に向かっていただきたい。

豊臣石垣館へ
内覧会の予約を10:00に入れてしまったので、東京から始発の新幹線で新大阪へ。予約時間まで余裕はあるのだけれど、インバウンド客が去年あたりから激増し、新幹線の始発が到着する時間帯以降はコインロッカーが一気に埋まるので早めに向かいました。
地下鉄の谷町四丁目駅から大阪城を目指すと巨大な水堀が見えてきます。
豊臣石垣館へ行く際には、本丸の天守を目印にするとわかりやすいです。
大阪城天守閣の東側にある金蔵の隣に豊臣石垣館があります。


2023年に開催された大坂の建築祭「イケフェス」で限定公開されたので内部に入ってきました。なかなか興味深かったです。
そのときのことは別の機会に。
豊臣石垣館は1階と地下1階の2層になっていて、豊臣期の石垣は地下1階で展示されています。


入口には大坂夏の陣図 右隻が。ここに描かれた時代の石垣が待っているわけですよ!
1階はパネル展示のみですが、豊臣期の石垣の発見の経緯や、豊臣期と徳川期の本丸の縄張の違い、さらにどの部分の石垣だったのか?が前述の「豊臣期・徳川期本丸重ね合わせ図」とともに掲載されていました。数は多くないので、焦る気持ちは抑え、これを見ておくとさらに理解が深まります。
そして階段を降りて豊臣期の石垣とご対面!
地下1階 豊臣期石垣を見に行く
そしてこれが豊臣期の石垣だっ!

見えているのはほんの一部だけれど、圧巻。

石垣の大きさがわかりやすいように、人を入れて撮ってみました。
この構図で見るとそんなに高いように見えないけれど、覗き見ると下まで続いている。
豊臣期の本丸は最も高い「詰ノ丸」、その下に「中ノ段」、さらに下にある「下ノ段」と三段構成になっていて、展示されているのは「詰ノ丸」の石垣です。この石垣は約6mの盛り土の下から出てきたわけで、その盛り土の高さから下ノ段の高低差は10m!ずいぶんと盛り土をしたものです。いや「盛り土をした」というより完全に「埋めてしまいたかった」のだろうな。
昭和59年(1984年)に見つかったこの石垣が「詰ノ丸の石垣」だと判明したことにより、その前の昭和34年(1959年)に発見された石垣は、一段下の「中ノ段」の石垣だと断定できるようになりました。それまでどこの石垣なのかがわからず「謎の石垣」とされていたものが、この目の前にある石垣の発見によって明らかになったわけです。
見どころ① 焼けた跡がくっきり残る石垣
まずは赤く焼けた跡が残る石垣を見るべし!

写真右側の丸印にある四角い石は左下が少し赤くなっている。これは大坂夏の陣の時に焼けた痕跡と考えられている。
その石から左下の丸印の中にある大きな三段の石は、熱で表面が剥離してしまったそうです。
・・・壮絶。
この方向から見ると「おぉ。野面積みだねぇ。きれいに成形されている大きな石はどこかから持ってきたのかねぇ。」という感想だったのだけど、角度を変えるとすごかった。
見どころ② 発展途上の算木積み!

しっかりと算木積みではないか!
野面積みと相まってこの無骨な感じがもうたまらん!
比較として、同じ大阪城の桜門付近の石垣の写真も掲載しておきます。

徳川期となると隅石はきれいに加工された算木積みとなっていて、石の加工具合や積まれ方がだいぶ洗練されている。
(豊臣期の石垣がイケてない、と言う意味ではないですよ!)
同じ城でも時代が変わるとこうも違う。
見どころ③ 豊臣期の石垣は、上からも見よ!
石垣の展示スペースはこれだけなのですが、まだ終わらない。
石垣のすぐ脇に階段があって、上から眺めることもできるのです。
ほうほう。裏込め石の様子もよくわかるのね。と眺めていたら。

石塔の台座!? 転用石ではないか!

- 右上の丸囲み 石塔の台座として使われていたであろう転用石。
- 左下の丸囲み 墓地にあったであろう五輪塔からの転用石。
見つけた瞬間は思わず「ふぉっ」という変な声がでてしまったよ。
案内版を見ると、算木積みになっている大きな石の中には古代寺院の礎石と考えられるものもあるそうです。
一度は見ておくべき!豊臣石垣館
石垣の展示スペースはこれで終わり。階段を上って一階に向かうと大スクリーンで石垣について解説をしてくれているのですが、そのVTRもなかなかよくできていてじっくり見てしまった。
展示されているのはほんの少しなのですが、盛り土の下に埋もれていて偶然見つかった豊臣期の石垣。
歴史の歯車がかみ合わなかったら見ることはできなかったかもしれないと思うと、感慨深いです。
表の徳川の石垣、地下の豊臣の石垣。
2人のビッグネームが携わった石垣をぜひ体感してください!
大阪城 豊臣石垣館
- 住所:大阪市中央区大阪城1-1 (大阪城内)
- アクセス:地下鉄谷町線・中央線 谷町4丁目/ 中央線 森ノ宮駅
JR 森ノ宮駅/大阪城公園駅/大阪城北詰駅
京阪電車 天満橋駅 - 営業時間: 9:00~18:00(最終入場は17:30)
- 駐車場:あり 大阪城公園駅前駐車場(171台)/森ノ宮駐車場(143台)
おすすめリンク
大阪城天守閣
大阪城のパンフレットがあります。「ゆかりの地マップ」は町歩きにおすすめです。
大阪城 豊臣石垣公開プロジェクト
豊臣石垣館を建設するためのふるさと寄付金「太閤なにわの夢 募金」の公式サイト。展示している石垣についての解説が掲載されています。