東京から遠出をせずに城めぐり。かろうじて城址碑があるような、伝承だけしか残っていないような城跡を「東京お城散歩」としてめぐります。
今回は滝野川城と同じ王子駅にある飛鳥山城。
徳川吉宗により桜を植えられて以来の桜の名所ですが、かつては豊島氏の一族である滝野川氏の支城だったと伝わっています。
飛鳥山城とは
前回訪れた滝野川氏の居城であった滝野川城の支城とされる飛鳥山城。
王子駅の真ん前にある、春になると桜のピンクで染まる都内屈指の桜の名所です。城跡と伝わるものの遺構らしきものは無い。とはいえ公園内には古墳もあるような高台であり、ここに城を建ててもおかしくない。
滝野川城と同様に太田道灌に豊島氏が滅ぼされたタイミングで廃城になったと考えられています。
飛鳥山城 基本情報
- 築城年:文明年間(1469~87年)頃
- 廃城年:文明9年(1477年)頃
- 築城主:滝野川氏
- 種類:平山城
- 天守: -
- 主なタイトル: -
- 主な遺構:なし
- 文化財指定:なし
- 所在地:東京都北区王子1丁目1-3
- アクセス:JR王子駅の真ん前。
- 駐車場:飛鳥山公園駐車場(有料)
- トイレ:有
- 売店・食事処など:飛鳥山博物館内にカフェ・ヴァーチュがあります。
「渋沢×北区飛鳥山おみやげ館」の近くにはキッチンカーが出ていることも。 - 女子城メグラー 難易度:★★★★★
JR王子駅のすぐ前。南口から出ると階段を登ることになりますが、中央口から出ると「アスカルゴ」で山頂まで行けます。公園化されているので散策はらくちん。敷地内には3つの博物館があり、大河ドラマ「青天を衝け」の主人公となった渋沢栄一の記念館があります。
とにかく情報が無い!
2021年に出版された100,38もの城が掲載されているという日本の城辞典にも載っていない!
まさに今回の「城址碑も無いような城を探して散歩する」という「東京お城散歩」のコンセプトにぴったりな城でした。
遺構とみどころ
遺構は見つかっていません。
立地について
この周辺は京浜東北線を挟んだ東側と西側で地形が変わる場所で、飛鳥山城があった飛鳥山には飛鳥山1号墳という古墳もあり、この周辺だけがやたらと高くなっています。
豊島氏の一族、滝野川氏の支城であったというが、滝野川城とは目と鼻の先、そして豊島氏の拠点である石神井城とは石神井川に出れば行き来できる。立地としてはここに城を築いてもおかしくない。むしろ滝野川城よりも場所的には良いのでは?と思ってしまいます。
飛鳥山城 縄張図
飛鳥山城の縄張図はありません。
飛鳥山城 御城印
滝野川城の御城印は(入手していませんが)、王子にある「渋沢×北区 飛鳥山 おみやげ館」で手に入ります。
滝野川城 御城印 440円
飛鳥山城へ
飛鳥山城の隅から隅まで歩くには王子駅の中央口から出るべし。
王子駅が大河ドラマ「青天を衝け」を経て、渋沢栄一テーマパーク化してた。

郵便局のポストも渋沢栄一仕様だった!

初めて飛鳥山公園に行くならアスカルゴも乗るべし。

あっという間に山頂へ。

確か食事処もあったと記憶しているのだけど、コロナで閉鎖になってしまいました。
残念ながら城の名残は全く無いのです。代わりにこの「飛鳥山」と刻まれた石のライトの台の写真を。
散策はしやすいので、滝野川城や平塚城の散策の合間の休憩スポットとしておすすめです。
敷地内の飛鳥山博物館では北区の歴史を知ることもできるので、セットでめぐるのがよい。(単独で来ても城成分が少なすぎなので・・・。)
とはいえ、ここに城を建てたくなるのもわかるというのがこれが理由だ!

高いっ!
京浜東北線を挟んだ東側は低く、飛鳥山を下ったとしても高低差はだいぶある。さらに飛鳥山から眺めると高低差がすごいわけで。
この周辺は上中里駅あたりまで貝塚も多く、縄文時代から古墳時代までの遺跡が発掘されています。
となると、この高台に作りたくなる物。そう、古墳です!
飛鳥山1号古墳
城の名残はないけれど、古墳はある!
飛鳥山1号古墳は、古墳時代後期の円形の古墳で、直径31メートルもあるという。

奥が一段高くなっていました。
案内板によると、発掘調査では横穴式石室が確認されたという。さらに石室内からは太刀や耳環、ガラス小玉など、見つかったものも多種多様。公園内にはほかにも古墳の周溝が確認されているそうで、古墳群があったようです。
はい、飛鳥山城散策はこれで終了。
滝野川城と同様、写真整理とコメントを書くより、事実と史実を調べる時間の方が長かった城跡でした。
とにかく情報がない!
おすすめ散策スポット
飛鳥山城(飛鳥山公園)に行くなら立ち寄ってもらいたいスポットがいくつかあります。
飛鳥山博物館

左が渋沢資料館、右が飛鳥山博物館。さらに並んで紙の博物館と3つの博物館があります。
王子周辺と北区の歴史を知るなら飛鳥山博物館がおすすめです。稲付城に行った時に見た静勝寺の道灌堂内に納められている太田道灌像のレプリカも展示されています。

けっこう大がかりな展示で驚いた。
国史跡になっている中里貝塚の展示が面白かったです。中里貝塚ではエジプトの「太陽の船」のような木舟が発掘されたんですね!とか、初めて知ることも多かったです。
ただどうしても、中世の城よりも縄文時代から古墳時代の展示のほうが力が入っている。城に関する展示は無いですが、地形や街道に関する展示は城を知るには興味深かったです。
渋沢×北区 飛鳥山おみやげ館
飛鳥山博物館から旧渋沢庭園を抜けて行った先にある「渋沢×北区 飛鳥山おみやげ館」では、稲付城、滝野川城、飛鳥山城の御城印が売っています。
渋沢栄一グッズもかわいいものが多いよ
青淵文庫 国指定重要文化財
青淵文庫は渋沢栄一の80歳のお祝いと、男爵から子爵に昇格した祝いを兼ねて寄贈された煉瓦及び鉄筋コンクリート造の建物。大正14年(1925年)の竣工なので、第一次世界大戦が終了して落ち着き、1929年の世界恐慌が起こる前の穏やかな時代に建てられた余裕がある建物といった感じがします。
栄一の書庫だったり接客の場として使用されたそうで、厳かな外観のなかでところどころおしゃれなポイントがあります。


晩香廬 国指定重要文化財
青淵文庫の向かいにちょこんと立っているのが晩香廬。渋沢栄一の70歳を記念して贈られた建物です。

大正6年(1917年)の竣工。「洋風茶室」というコンセプトで栗材を用いて作られた建物で、暖炉・薪入れ・火鉢などの調度品、机・椅子などの家具が備わっていて「サロン」といった感じ。とってもかわいらしい建物です。
コロナ期は中に入ることはできなかったのですが、2022年2月現在、入れるようになりました。
何度も前を通っては「今回も入れない」と断念していたので、今度こそ内部を見学してみたいです。
ちなみに「晩香廬」とは「バンガロー」のもじり。まさに山小屋っぽいかわいらしい建物です。
<終わり>