姫路城編の続きです。
最初の門 「いの門」へ
菱の門を抜けて右に歩いて行くと最初の関門「いの門」に到着。「いの門」は非常にシンプル。
シンプルすぎて見過ごしがちだけど、門だけでなくまわりの石垣や櫓がそっくり残っている光景ってとても貴重。お城初心者でこれから城を周ってみたいという方は、まず姫路城に行くことをお勧めします。
この光景を目に焼き付けておけば、どんなに廃墟となった城跡でも、それが関ヶ原以降の「石垣+櫓+門で作られている城」であれば、元の姿を妄想で補うことができるようになります!
ここに注目! アゲハ蝶だらけの瓦を見逃すな!
「いの門」では近付いてよーく見てみてください。
アゲハ蝶がいっぱいだ!
アゲハ蝶(揚羽蝶)は、姫路城を大改修して天守をつくった池田輝政の代表的な家紋です。
(池田家は複数の家紋を使用していたらしいです。)
動物の家紋って珍しいので、この紋はどこにいても目にはいってきます。
姫路城は城主が入れ替わっていて、改修をする際に自分の家紋の瓦を追加していっているので、いろんな家紋の瓦を見ることができます。まるで瓦デザインの展示会!?それを眺めているのも面白い。
瓦屋根の下のほうに下向きの三角形の瓦がある。これは「滴水瓦」とよばれていて、雨水を決まったところに落とすためのテクニックなのです。
雨水って馬鹿にできなくって、長年、落ち続けると城を傷ませる原因にもなります。こうやって決まったところに雨水を落とし、それを受けられるようにしておけば、お城も長持ちするわけですね。
しかし、「滴水瓦」までおしゃれだなぁ♡。
さらに歩くと「ろの門」に到着。
「ろの門」
「いの門」よりでかいぞ!
「ろの門」は攻撃用の狭間が目立っている。攻め入るとしたら、あそこから撃たれるのかぁ~。と妄想。
「ろの門」には行っちゃうと「天空の白鷺」に行くには逆ルートになっちゃうので、門の外壁のみ撮影して「ぬの門」を目指します。
道は大きく右にカーブしていて見通しが効かないようになっている。そして高石垣からは狙いたい放題ということね!
高石垣のそびえ立つ左にばかり目がいってしまうけど、右も必ず見といてくださいな。
意外と低い「狭間」がある塀。これがポイント。その塀を支えるように建っているのは「控塀」。塀を支えるための仕掛けなのだけど、この形は珍しいそうです。
城好きとしては押さえておきたいポイントだったんだけど、歩いている時には気がつかず。その塀の奥にある西の丸の化粧櫓と塀を一緒に入れたくて撮影したんだけど、あとから控塀も撮れていることに気が付きました。
知らず知らずに撮れていることも多いので、撮影はやめられない。
姫路城は入口でもらえるパンフの内容が充実しているのですが、城内での説明は非常に簡素(もしくは無い)なので、見逃し注意です!
「ぬの門」
ゆるい右カーブの先は今度は左にクランク状態になっていて、そこにあるのが「ぬの門」。
でかっ!!!
写真ではその大きさが伝わりにくいけど、「ぬの門」は三層の櫓門。現存している三層の櫓門は姫路城のこの門のみだそうです。(日本城郭検定の準1級あたりの問題に出てきそうな門ですな。)
「菱の門」と比較すると、横幅がある割には入口が小さいので、石垣の圧迫感を感じます。目の前に立つと圧倒される感じ。しかもゆるく右カーブを描いた先、左に入るように作られているので攻め手からすると完全に死角。恐ろしい・・・。
ここまで来ると天守にかなり近くなっているので、防御のために扉は鉄板貼りになってます。門の真下に行かないとわからないとわからないけれど、上を見上げれば「石落とし」も備わっていて、これが守りの要の門というのがよくわかります。
写真の手前、左側の反りがきれいな石垣は扇の勾配と姫路城の案内がありました。
「扇を広げた時のようにきれいなカーブを描いている」から「扇の勾配」と呼ばれるけど、どうやって見たら扇なんだろう・・・といつもワタシの頭を悩ませます。頭の中で扇を広げて「こんな感じ? こんな感じ?」とシミュレーションしてるんだけど、低位置が定まりません。
築城の名手の加藤清正が築いた熊本城の扇の勾配の石垣を見た時は、高さ、勾配、美しさともに一番だと思ったけど、姫路城の扇の勾配も負けてないのよ!
人面鏡石を見逃すな!
ここらへんで確か「鏡石」があるはずなんだけど、見つからないなぁ。時間がないので探すのは諦めることに。
「鏡石」とは、こういった大きな門の近くに置かれることが多い巨大な石で、大阪城の蛸石(たこいし)のように巨大な石をバーンと置いて「こんな石を運んでこれる、おれっちの城ってすごいだろ?」と自慢するためのものもあれば、人の顔のように配置されることもあります。うわーーっと攻め入った敵に対し、大きな顔を配置するようにして心理的な圧迫を与えるという効果を狙っているそうな。あるいは、呪術的な意味合いを持たせているとも言われています。
いずれにせよ、大きな石を運んでこれたというのは「権力アピール」であり「マウンティング」でもあるわけです。
どこだかわからないなぁ。と思っていたらこれも捕獲してました!
「人面」の石発見!
これまた、大阪城や江戸城規模の鏡石を想像していたので、意外と小規模で見過ごしていた。
人面に見える??? 赤で強調してみた。
「ぬの門」に向かって歩いているとき、石垣の石がやけにでかいなぁー。と思ってたのです。
シャッター切ったら、これがどうもその「鏡石」だったらしい。
正面に人面石で圧迫感を与え、さらに奥には大天守とそれからつながる3つの櫓のある連立式天守。
これ、攻め入る気にならないよー。怖っ!
圧迫感のある石垣の上に三層の鉄板貼りの門 with 石落し。扇の勾配の石垣に人面岩
この「ぬの門」周辺はあらゆる守りのテクニックが満載。当時の築城術のすごさを体感しながらも、2階、3階、そして石落しから攻撃にさらされることを覚悟し、「ぬの門」を突破していく。
「ぬの門」の裏側にまわるとしっかりとした土台に立てられているなぁ。というのがわかる。しかも上り坂になっているので兵の勢いを少し殺すことになる。さすがだわ。
そして次の門「りの門」のほうを向くと、左側の巨大石垣の上に超巨大天守(の覆い)が!
遠近感が写真だと出ませんが、この石垣の上には広い「備前丸(本丸)」跡があり、その奥に天守があります。
それだけ奥まった場所にあるのに、この天守、でかく見えるということは、そうとう天守はでかいのだよ。かるく、戦意喪失するね。
「ぬの門」併設の「りの一渡櫓」へ
さて、「りの門」に入る前に、「ぬの門」に併設されている「りの一渡櫓」が一般公開されているというので中に入ってみた。
築城から今まで一般公開されていなかったのだけど、保存修理期間中に一般公開されているそうな。
2014年からは大河ドラマ「軍師官兵衛」に関する資料を展示する予定ということですが、いつかまた、閉じられてしまう可能性があるので、早めに行ってください!
「りの一渡櫓」は三層の「ぬの門」とつながっています。
二層二階の櫓で、おそらく武器庫として使われていたんじゃないかなぁ。と推測してみる。
ガイドさんに聞いた話では、江戸時代の鯱ほこにはたくさん「穴」があるけど、時代が進むごとに「穴」が減っていく。これは製作した際に、穴を開けないとうまく製造できなかったものが、時代が進むごとに技術が進歩して、少ない穴でも製造できることになったことに起因するそうです。
時代ごとに顔が違うけど、これは製作するときにどの年代のシャチホコを参考にしたか?によって顔が異なるそうです。(どの時代のモノがいつを参考に作られたか、説明を聞きましたが忘れてしまった。)
「りの一渡櫓」の中に入ってみる。中には博物館級のお宝(ただし、マニアにとってに限る)が展示されていました。屋根を飾る装飾物とか甲冑とか。
やばい、30分はここで過ごせる♡
一番印象に残ったのが丸瓦。
揚羽蝶紋の絵柄がかわいいというか、不気味というか、ぶさかわいいというか・・・。
隣には桐の家紋がある。たぶん豊臣(羽柴)秀吉かな?
普段は一般公開されていないという「りの一渡櫓」で思いのほか、時間がかかってしまった。
急いで天空の白鷺を目指します。
続く。
姫路城を旅するなら? おすすめの本
日本100名城めぐりの旅: 7つの「城の楽しみ方」でお城がもっと好きになる!
姫路城というお城の楽しみ方を教えてくれる本。
ワタシは姫路城に行く前に読んで行きました!他にも会津城や大阪城などいろんな城の楽しみ方を教えてくれます。読み物としてもおススメです!
レンズが撮らえた幕末日本の城
明治に入って撮影された城の写真が充実!
取り壊される直前の壁の漆喰がはがれおちたり、瓦が外れて落ちそうになっているのを見ると、幕末、城の修理になんてかまってられない諸藩の事情もよくわかります。
姫路城の天守も今はきれいだけど、壁はボロボロ、瓦ははがれて屋根もでこぼこ。取り壊されてしまった建物の様子もわかって面白い!