『どうする家康』聖地巡礼⑳ 家康が駆り出された姉川の戦いの決戦地『血原』へ

2023年の大河ドラマ『どうする家康』を勝手に応援企画!
『どうする家康』の聖地“潤”の旅。
第15話『姉川でどうする!』のメインテーマとなった姉川の戦いには徳川家康も出陣していました。朝倉義景攻めに失敗した撤退戦「金ケ崎の退き口」から岡崎に戻って来た翌月には近江の浅井氏攻めへ出陣。徳川家康にとってこの元亀元年(1570年)は姉川の戦いも含めて3度も戦場に駆り出され、その行軍距離はなんと1,000km!
そんな大忙しの家康が奮闘した姉川の戦いの決戦地を2010年、2018年に行ったときの写真とともにレポします。

姉川の戦いとは

元亀元年(1570年)6月に発生した織田信長徳川家康連合軍 VS 朝倉景健(かげたけ)浅井長政連合軍との合戦。
発端は、将軍に就いた足利義昭の2度の上洛の命令に背いた朝倉義景に激オコした足利義昭が織田信長に命じたこと。越前までで向いたけれど、浅井長政の裏切りにあって朝倉軍と浅井氏の挟み撃ちになりそうになり(「金ケ崎の退き口」)、家康が岡崎へ戻ってダメージ回復する間もなく、信長から裏切った浅井長政討伐に駆り出されたのがこの「姉川の戦い」なわけです。
なお、近江に出張った朝倉景健は朝倉義景の一族の人間で、姉川の戦いでは朝倉軍の総大将でした。

姉川の戦い 立地について

小谷城を落とすべく近江に来た織田信長が陣をはったのが虎御前山城。浅井氏の居城であった小谷城北国脇往還の道を挟んだ反対側に陣取りました。
浅井氏攻めでまず始めたのが浅井方の城の横山城。信長は横山城を攻略して地固めを始めた。
小谷城の東側には小谷城の支城だった丁野山城中島砦がある。

姉川の戦いの中心地は下記の画像の中ほどを東西に横切っている姉川の周辺。
小谷城から東南3kmにある大依山は姉川の戦いで浅井・朝倉軍が本陣を置いたところ。
三田村氏館は姉川の戦いの決戦の際に朝倉景健が本陣を置いたところ。

徳川家康は岡山に本陣を置いて姉川の北の三田村氏館周辺に陣取った朝倉軍に対峙。
信長は小高い茶臼山古墳付近の龍ヶ鼻に陣を置いていたが、浅井朝倉が姉川沿いまで降りた事を知り、そのふもとにある陣杭の柳(じんごのやなぎ)」まで降りて本陣を移した。
この龍ヶ鼻が姉川や小谷城を見通せる良い場所で、合戦の地となった姉川だけでなく、浅井朝倉両軍が陣取っていた大依山、その先の小谷城まで掌握できるんですよね。なお、伝承によると「陣杭の柳」は信長陣で陣太鼓を柳に掛けたことから呼ばれるようになり、「陣鼓の柳」だったのでは?という伝承もあるようです。

Google Mapに姉川の戦いの主要スポットをマッピング
Google Mapに姉川の戦いの主要スポットをマッピング

こうしてみると、小谷城に対峙するためにすぐ近くの虎御前山城に信長が陣取り、この距離感も近くて冷や冷やするけど、小谷城から5kmほどという近さで戦闘が行われていたということが怖い信長の本気度とここまで押し入ることができたという「強さ」をひしひしと感じる

 

姉川の戦い決戦の地 旧野村橋へ

Google Mapで検索すると出てくる国道365号線の「野村橋」は新しい橋で、それより東の姉川に架かっている橋が「旧野村橋」。この北側に姉川古戦場の碑があります。

旧野村橋 姉川古戦場
旧野村橋 姉川古戦場

 

姉川古戦場 石碑
姉川古戦場 石碑

「元亀元年庚午六月二十八日 為陣没者建之」と姉川の戦いがあった日時が刻まれている。

この旧野村橋付近が最も激戦地であり、現在は平成期の改修によって無くなってしまったけど、姉川に沿って血川という川が流れており、その由来は負傷兵の血で赤く染まったという伝承からでした。

姉川古戦場 案内版
姉川古戦場 案内版

 

なおこちらの写真は旧野村橋がまだ渡れていた2010年のときのもの。

2010年に行ったときは長浜が地元な友達と、そのお父さんが現役時代に旅行会社でガイドをしていたということで案内してもらったんだけど、この旧野村橋、地元では姉川の合戦で多くの血が流れたことを表すかのようにまことしやかに恐ろしい伝承があるらしい。この野村橋付近では「首」にまつわる事故や不幸が多いとのことでした。詳しくは書きませんが、「ほら。こないだのあの事故も・・・」と父娘で話をしているのを聞いてゾッとしたものです。
2010年に行ったときは日暮れにも近く、曇り空だったので写真は少し怖い場所のように見えますが、晴天の2018年に行った旧野村橋はこんな感じ。

姉川の戦い 旧野村橋
姉川の戦い 旧野村橋

流れる川もきれいで、ここで合戦が行われたとは思えない。
でもやっぱりこの周辺で川遊びをしたいとは思わない・・・かな?

旧野村橋は現在は老朽化に伴い車で渡ることはできませんが、徒歩なら通行できるようになっています。(とはいえ、あまりに荒れていて通り抜けるのは怖かったのでちょっと渡って戻ったけど)。

姉川古戦場と旧野村橋
住所:滋賀県長浜市野村町772
駐車場:特にないが石碑周辺に数台停められる。橋の反対側から車は進入禁止になっている。
トイレ:なし
旧野村橋は姉川古戦場の碑から北側にある橋です。

 

姉川の戦い決戦の地 血原

姉川古戦場跡から国道271号を西に車を走らせ、川沿いに入ったところに「血原公園」があります。ここも姉川の合戦で多くの血が流れた激戦地。
姉川の戦いでは両軍合わせて死傷者三千余名というのだけど、姉川の浅井朝倉軍側には血原、血川、千人斬りの丘、七十士の墓など戦にまつわる恐ろしげな地名が点在していることから姉川の戦いの主戦場はこのあたりだったと考えられている。三千人もの血が流れたというのは、血川と名付けられたのも誇張表現では無かったのかもしれない。

血原公園
姉川古戦場の碑

現在は血原公園と整備されていて、特に遊具があったり休憩所があったりということはないのだけれど、建物などを建てたりせずにその名残を残してくれるのが嬉しい。

写真の左の藪の反対側に姉川が流れていて、この用水路みたいな川みたいなのはなんだろう???かつての用水路か?はたまた「血川」の再現イメージか?

姉川の戦い 血原公園
公園として整備されている「血原」の地。

そしてここにある案内版がユニーク。
朝倉軍に真柄十郎左衛門直隆という武将がいました。刃渡り五尺三寸(約160cm!私よりでかい!)の大太刀をふるってこの地で討ち死にしたそうで、その真柄の使っていた大太刀の原寸大の模型が乗っかっています。

姉川の合戦 案内版
血原と三田村氏館について

朝倉景健の本陣が置かれた三田集落内の三田村氏館について説明されている。ここから姉川の対岸にあった岡山には徳川家康の本陣が置かれていて、その中間にあるこの血原は多くの戦死者の血で染まったことから「血原(ちはら)」と呼ばれたという。
血川といい、八王子城の御守殿の滝といい、敗戦時に多くの血がながれて赤く染まったという伝承はつきものだけど、「血で染まった原っぱ」というのも恐ろしい。

現在、この地が「血原」であったことがわかるものはその地名くらいなのですが、写真に撮っておくならこの石碑が唯一の「血原」らしいものなので忘れずに。

血原公園
血原養水底樋跡

中世の時代から姉川流域は干ばつと洪水が繰り返し起こっていて、周辺の村々との灌漑用水の争いが絶えなかったそうです。江戸時代に姉川~水を引いて底樋を造ったことを記念して石碑が建てられています。おそらく石碑の横にある石組みの溝がその底樋です。

血原公園
血原公園から眺めた小谷城

血原公園から小谷城を眺めたところ。うっすらと小谷城が見えて、その手前の右側にあるのがおそらく浅井・朝倉軍が最初に本陣を置いた大依山だと思う。これを背にして徳川軍と向かい合っていたのね。

そして最後の写真は血原公園にあった「血原の大決戦」の看板。真柄十郎左衛門が大太刀をふるっている。2018年に行ったときはだいぶ薄くなってしまっていたので2010年に行ったときの写真。元画像が無くなってしまって、当時のホームページに掲載していたサイズ転載なので小さい

2010年に訪れたときのことはこちらから

海の向こうを旅してみれば

2日目 関ヶ原から戻ってきての姉川の古戦場 関ヶ原から戻ってきて、帰りの新幹線まで時間があったので長浜の姉川の古戦場跡に…

姉川の戦いを追うなら旧野村橋、血原は必須スポット!案内版もあって丁寧に解説してくれるのでぜひまわってみてください。

血原公園
住所:滋賀県長浜市三田町
駐車場:数台停められる
トイレ:駐車場にあり

姉川の戦い その後

姉川の戦いは一次資料がなく、最初に戦いの火蓋を切ったのが家康側なのか浅井・朝倉側なのかもよくわかっていません。浅井・朝倉側の織田信長陣に対する奇襲攻撃という説もあれば、「血原」「血川」「千人斬りの丘」などの伝承地が姉川の北側にあることから、最近では徳川軍が最初に姉川を渡って朝倉軍を攻撃し、膠着しているところを榊原康政が横から突いたという説もあります。(これを『どうする家康』で見たかった!)
姉川の戦いを描いた日本で唯一の「姉川合戦図屏風」が福井県立歴史博物館に所蔵されているけれど、屏風絵もそれくらい。
姉川の戦い後も浅井・朝倉連合軍にはまだ余力は残っていて、織田信長はさらに本格的に浅井・朝倉連合軍を叩くべく、決戦の地を浅井氏の本拠地である小谷城に移していきます。

 

 

姉川の戦い 散策ログ

散策ログはありません。


参考資料:
・姉川の合戦再現実行委員会 姉川の合戦とその周辺の歴史


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