箕輪門だけじゃない!二本松城 (2)三ノ丸~本丸へ 登って登って登ります

福島県 二本松城編の続きです。箕輪門を通過。

振り返って眺める箕輪門
振り返って眺める箕輪門

裏側から見るとずいぶん雰囲気が違うなぁ。
左側にある二重櫓へは、ちゃんと石段もあります。(この二重櫓は存在していなかったけど。)

 

塀重門跡

箕輪門を後にして三の丸に向かう塀重門跡(へいじゅうもん)へ。塀重門跡は門の台石が残っているものの、門は作られなかったそうです。

塀重門跡
塀重門跡

塀重門跡の石垣は東日本大震災の影響で修復中でした。本来はこれをさらに左に曲がり、三の丸に攻め入るのです。
左側の石垣の上から箕輪門までの石垣には土塀の代わりに赤松が植えられました。二本松城ではこの石垣の上の赤松が特徴です。

修復中の石垣を見てみると、ナンバリングされたシールが貼られている。石垣の裏の土で固められている造りもよくわかります。あぁ。矢穴が愛おしい。💕
そしてその上には二本松城のシンボルの赤松。

ここから先は工事中で通過できないので、いったん退却。
箕輪門を出て城の裏側にまわると三の丸、二の丸、本丸、天守台まで上がることができました。

箕輪門の先に多聞櫓の石垣
箕輪門の先に多聞櫓の石垣

 

この石垣もいい!
この石垣もいい!
箕輪門を出て三ノ丸へ
箕輪門を出て三ノ丸へ

 

二本松少年隊 成田才次郎最期の碑

三ノ丸の石垣をぐるっとまわるときに石碑がありました。

二本松少年隊 成田才次郎最期の碑
二本松少年隊 成田才次郎最期の碑

「八重の桜」の第24話「二本松少年隊の悲劇」の回で、八重から達磨をもらった少年が成田才次郎です。木村銃太郎門下の少年達を含むわずか25名の隊は、激戦地となった大壇口に出陣。的確に相手を打ち抜いて戦ったものの木村銃太郎は重傷を負い、最期は介錯されて亡くなり、退却することになりました。

大壇口古戦場には石碑が残っていて、行ったことはないけれど、二本松周辺をうろうろしていると「大壇口古戦場跡」という看板を良く見ます。そのたびに「霞ヶ城からこんなに近いところで少年達が戦ったんだな。」と切ない気分になります。

退却時に少年達はバラバラになり、成田才次郎は逃げる最中に叔父に会い、逃げるように諭されたものの「仲間のかたきを討つ」と二本松城へ向かいます。そして長州の白井小四郎を突き、絶命させると銃弾を浴びて亡くなります。

白井小四郎を「斬った」というのではなく、「突いた」というのがポイント。二本松少年隊の像は必ず「斬る」ではなく「突く」。二本松は「突き」の剣法が伝わっていて、成田才次郎も父親から「斬らずに突け」と教わったといいます。二本松藩では「斬る」だけではなく「突き」という剣術が浸透していたからというのもあるけど、この頃になると「子どもでは斬っても力が及ばず、ダメージは与えられない。突いた時に刀が抜けずに斬りこまれるリスクはあるが、確実に致命傷を与えるべく、突け」というような趣旨に変わっていったようです。子どもが勝つための実践向きな訓練だったんですね。

 

さて、震災の修復工事中のため、裏から三ノ丸に攻め入る。
三の丸は二段構えになっていて、下段のほうは毎年秋に開催される二本松菊人形の会場になります。
ワタシの伯父(朝ドラ「はね駒」でちょうちん祭りにエキストラ出演をした)は、菊人形の会場づくりを担当していました。会場設営中に台風が来ても唯一、伯父が担当した部分は崩れなかったという伝説を持っていました。
きっとご先祖様は土着の農民だと思うけど、二本松愛がすごいぞ。伯父さん。

三の丸から周って塀重門跡を見る
三の丸から周って塀重門跡を見る

工事中で通過することはできなかった塀重門だけど、門構えの跡がはっきりわかる。

 

三ノ丸

石段を上り、上段・下段に分かれた三ノ丸へ入ります。
三ノ丸には御殿や庭があったのだけど、発掘調査の結果、これは意図して段をづくられたというよりも、加藤氏によって山城で平場を確保するために最小限の労力ですませるために上下に分けて作られたということです。

明治期には三ノ丸の下段に石垣と見事にシンクロした製紙工場が作られたことが、大正期に撮影された写真からわかります。

三の丸の上段へ
三の丸の上段へ

 

三ノ丸 上段
三ノ丸 上段

三の丸上段も意外と広い。二本松城では整備計画が策定されていて、上段では幕末期の屋敷跡・庭園跡の再現が計画されています。
よし。三の丸から天守台まで一気に攻めるぞ!

 

洗心亭を見逃すな!

霞池と藤棚が途中にありました。藤の季節にはきっと美しい紫色が池を彩るのでしょうね。
奥に見えるのは洗心亭という茶室で、二本松城内で唯一残る江戸時代の建造物ということで、実はとても貴重な建物なんです。

洗心亭
洗心亭

天保8年(1837)に移築されて藩主の釣茶屋として利用されていたこの建物。明治40年(1907)に元の所在地と考えられた現在地に再度移築されました。二本松城で唯一の歴史の目撃者であるんですよね。もし、移築されなかったら戊辰戦争の時に確実に焼失したことでしょう。

この藤の木は智恵子抄で有名な高村智恵子の生家の庭先にあった藤の木が植えられているそうです。
大人になって「智恵子抄」を読んだけど、基本的にワタシは詩集では感情移入できることがない。智恵子抄が唯一、胸が苦しくなるほどハマりました。読んでいて切なかった。どんどん狂っていく智恵子に対する夫の高村光太郎の愛は、どんなラブストーリーよりも心を打たれる。

あどけない話
智恵子は東京に空が無いという
ほんとの空が見たいという
(中略)
智恵子は遠くを見ながら言う
阿多多羅山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとの空だという
あどけない空の話である。

もう一つおすすめな詩が「レモン哀歌」。鬼気迫ってます。智恵子に死が迫っているときの詩ですが、比喩はあっても写実的。「生」と「死」の対比がすごい。高村光太郎の智恵子に対する愛をひしひしと感じる。
詩を単体で読むのではなく、ぜひ通して流れで読んでほしいです。
智恵子の生家はドライブがてらに二本松城から行けるのでこちらもお勧めです。
ちなみに、天守に登ると智恵子が欲した安達太良山の空が見えます。

 

さて、切なくなってしまった気分を変えて天守を攻める。
鏡池の上にはるり池があるのだけどそっちには行かずに、標的は天守台だ!
るり池は、丹羽光重公の造園当時の姿が現在も残っているということなので、こちらも時間があればぜひ訪れて見てください。二本松城は山城から近世城郭へ、土の城→石垣の城・さらに石垣の変遷もわかる城ではありますが、庭園も見事ですよ!

 

左のほうにまわると智恵子抄詩碑や二本松少年隊の碑、搦手門(裏門のこと)もあるけれど、三の丸の上段に戻り、ひたすら天守を目指して登る!

緑が多くて気持ちが良い。気分はピクニック。

コンクリート舗装された緩い坂道もあるけれど

気分を味わうために、あえて山の中の過酷な道を歩いてみる。

行ったのは7月だったけど、まだ紫陽花がところどころ咲いていてキレイでした。二本松だと7月でもまだ紫陽花が咲いているのね。

さらに上へ。上へ。何か石碑が見えてきた。

 

二本松藩士 自尽の地

二本松藩士 自尽の地
二本松藩士 自尽の地

案内板によると

1969年7月29日。
戊辰戦争において二本松城は城下・城内の戦いとなり、正午頃に二本松城は炎上。落城しました。
二本松藩の戦死者は337名以上、負傷者58名以上、他藩の戦死者208名以上という壮絶な戦いでした。
ここでは主戦論者だった家老の丹羽一学、上代の服部久左衛門、小城代の丹羽新十郎の3名が責任をとり自尽(割腹)した。

周りの木々が茂っているせいでちょっと薄暗いし、大河ドラマ「八重の桜」のストーリー上、この週か、翌週あたりで落城するであろうというクライマックス。箕輪門のそばで戦っていたというのは知っていたけど、箕輪門からだいぶ上がってきたこの場で自刃したのね・・・。

でも、ワタシはまだ上を目指さねば。天守台までの道のりは長い。
紫陽花で彩られた道をひたすら登る。

舗装された道だけど、結構大変だぞ。ピクニック気分ではなくなってきた。🤣

 

日影の井戸

日影の井戸
日影の井戸

千葉県印西市の「月影の井」、神奈川県鎌倉市の「星影の井」と並んで「日本の三井(さんい)」と称される「日影の井戸」も通過。もう、疲れてきたよ。と、心が折れそうになった頃。

本丸が見えてきた
本丸が見えてきた

やっと本丸に到着。箕輪門から30分!遠かったよぉぉぉぉ!

天守台編へ続く

 

二本松城に行くなら おすすめの本


まっぷる 福島 会津・磐梯’22
まっぷるは本と連動したアプリもあって便利!二本松は情報が少ないけど、ガイドブックで情報収集♪震災後、二本松駅のすぐそばに移転してきたなみえ焼そばのお店はおいしいですよ!


二本松藩 (シリーズ藩物語)
二本松藩についてもっと知りたくなったらこの本がおすすめ!
領主や藩の歴史だけでなく領民の暮らしや起こった事件など、藩の歴史が様々な角度でつづられています。

 

二本松城に行くなら おすすめなホテル


アーバンホテル二本松
二本松駅のすぐそばにあるビジネスホテル。二本松は岳温泉まで行けば温泉宿に泊まれますが駅の周辺にはホテルが少ない。何かイベントごとが重なると満室になっちゃうので予約はお早めに!近くにコンビニもあります。


岳温泉 鏡が池碧山亭
岳温泉の中で唯一、鏡が池に面したホテル。湖畔の朝の散歩は快適です。温泉は全国的にも珍しい弱酸性のかけ流し♨。ライトアップされた露天風呂も素敵です。食事がとにかくおいしかった!

 

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修復中の石垣
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