弘前城 現存天守だけじゃない!重要文化財の門も見よ!

2011年9月 青森県を旅してきました。
城メインではなかったのですが、弘前城、黒石に城下町散策とつゆ焼きそばを食べに行き、五能線のリゾートしらかみに乗って十二湖散策と不老不死温泉へ。そして最終日に青森県立美術館へという2泊3日コース。
青森の旅については本家旅行記サイト海の向こうを旅してみればでご覧ください。

海の向こうを旅してみれば

目次 1 白神山地でリフレッシュしてこよう!の旅2 弘前の観光では100円循環バスをうまく利用しよう!3 世界遺産 白神…

こちらのサイトでは弘前城と弘前のおいしいものを紹介します!

 

 

弘前城とは

弘前城は津軽の英雄、津軽弘前藩 初代藩主 津軽為信公二代目藩主の信枚(のぶひら)によって8年の歳月をかけて慶長16年(1611年)という江戸時代初期に築かれました。目的は青森県の北に居住していたアイヌ民族の抑え。また、江戸幕府の始めだったこともあり、西国に何かがあった時に北に何かがあっては困る。北を統治して安心して西国に向かうためにも北の守りの要としてとても重要な拠点でした。

当時は本丸の南西の隅に五重の天守があったのですが落雷により焼失。どうやら天守の内部に焔硝蔵があり、落雷でそこに引火して爆発したそうです。
幕末になって幕府の許可を得て辰巳櫓(東南隅櫓)を改築して天守の代用として使いました。江戸幕府の権威がだんだん落ちていく中でも城の改築は幕府のご機嫌伺いをしながらじゃないと進められないご時世。幕府に配慮し、「天守」ではなく「御三階」として届け出をしました。なので、現在のように「天守」と呼ばれるようになったのは明治以降なんですね。

弘前城へ行くと「なんかこの天守、江戸時代に築かれたにしては他の城と違って小さいし質素だな」と感じるのは、もともと「天守ではなく、櫓だったから」なのです。
とはいえ、赤い下乗橋から眺めた時の堀を越えた石垣の上に建つ天守はなかなか素敵。桜の季節には特にため息が出るような美しさです。

このページに掲載している内容は2011年9月時点のものです。
天守(御三階)の建物は本丸石垣の修復工事により2015年に曳家で本丸に移動しました。本来なら2023年には石垣全体の修理が完了する予定でしたが、新たに補修が必要な箇所が出てきたため、2025年に修理完成予定と延期になりました。

 

弘前城 基本情報

  • 築城年:慶長16年(1611)
  • 築城主:津軽為信・信枚親子
  • 種類:梯郭式・平山城
  • 天守:層塔型 三重三階
  • 主なタイトル:東北唯一の現存天守
  • 主な遺構:天守、丑寅櫓、辰巳櫓、未申櫓、追手門、東門、北門、南内門、東内門、本丸、北の曲輪、二の丸、三の丸、堀、土塁
  • 文化財指定:天守、門追手門、東門、北門、南内門、東内門)、櫓(二の丸辰巳櫓・二の丸未申櫓・二の丸丑寅櫓 ) 以上9点が重要文化財指定
  • 所在地:青森県弘前市下城銀町1
  • アクセス:JR奥羽本線 「弘前」駅からバスで約15分。「市役所前」下車だと追手門からすぐ。NHK側で降りると東門にすぐ入れます。近くに津軽為信公の銅像があるよ。
  • 駐車場:弘前市立観光館に有料地下駐車場あり(収容台数88台)
  • トイレ:城内にあちこちアリ。

 

弘前城 見どころ

  • 門+土塁+枡形がセットできれいに残っています。現在残る5つの城門(追手門、南内門、東内門、東門、北門)国の重要文化財指定。北門を除いた門は1610年に建てられたもの。北門は大光寺城(だいこうじじょう)の城門を1611年に移設したもの。
  • 今回は行かなかったけど二の丸の辰巳櫓、未申櫓、丑寅櫓 3つの櫓は重要文化財。ひっそりと建っています。
  • 下乗橋から見える天守がみどころ。この角度が一番美しい。
  • 天守から見る岩木山。津軽富士と呼ばれるだけあって富士山みたい。

 

弘前城と一緒に行きたいおすすめスポット

  • 弘前の洋館めぐり
    写真好きにはたまらない!旧弘前市立図書館や青森銀行記念館、外人教師館や教会など街歩きも楽しいのです。
  • 黒石 つゆ焼きそばを食べに行こう!
    B級グルメグランプリで一躍有名になった黒石つゆ焼きそば。レトロな建物や町屋、商家が残って弘前からの1日旅行におすすめです。

青森空港から出ている空港バスで約1時間で弘前。そしてバスで弘前城へやってきました。
あいにくの曇り空だけど、現存12天守のうちのひとつである弘前城の天守がどうしても見たかったのだ。
それでは、イザ、攻め入る!

弘前城 津軽為信公がお出迎え

津軽弘前藩 初代藩主 津軽為信公の銅像
津軽弘前藩 初代藩主 津軽為信公の銅像

バスでNHK弘前文化センターで降りると津軽為信公の像がお出迎え。
今回は弘前市役所前のバス停で降り、南にある追手門から入りました。

弘前城 追手門
弘前城 追手門

おぉ。外堀も残っているし、土塁もある!
土塁の守りのすごさをしっかり意識して見たのはこの時が初めてでして。姫路城をはじめとした近世城郭しかほぼ行ったことが無い状態だったので、土塁の上に門が築かれているというのがとても新鮮でした。

弘前城 追手門
弘前城 追手門

西国では織田信長が積極的に築城に取り入れたことにより急速に石垣造りの城が広まったけど、もともと石垣はお寺に使われていたものであって、同じ時期、関東より北の城では土塁が多用されていました。
その土塁を多用した城は豊臣秀吉の天下統一の過程においてほとんどぶっ壊されてしまった。明治の時代に残っていた城も多くは廃城となってしまった。
そういえば、土塁がこれだけ目立つ城って当時のワタシは見たことなかったんですよね。

弘前城の追手門はそして「黒い」
時代劇に出てくる門はいわゆる近世城郭の城の門をモチーフにしていることが多いので、石垣と石垣の上に立った白漆喰の面積が多い「白い門」のイメージがある。やっぱり姫路城の印象が強いのかな。なんだか「城」というより武家屋敷に入っていくみたい。

と、ある意味経験値が上がったワタシですが、しっかり門を眺めて見ると、

土塁とはいえ、しっかり囲まれているので防御はできている。
攻める気分で門をくぐろうとすると、2階部分にはしっかり狭間まである

ここから撃たれるではないか!

土塁だから石垣よりは上りやすいけど、土塁を登っても櫓に阻まれる。

もたもたしているうちに、殺られるな。

弘前城は本丸は総石垣ですがそれ以外は土の城
土の城、すげぇじゃん!と、噛みしめました。

追手門を通過するとしばらく一本道。
とはいえ、当時は三の丸で、きっと周りは建物があっただろうからすんなり攻められる、というわけではないんだろうな。
中堀とともに「杉の大橋」が現れた。
※よく見る「桜の弘前城と赤い橋」。あれはここではありません。

杉の大橋
杉の大橋

写真の左奥に南内門が見える。
橋を渡るとそこは二ノ丸の内枡形になっていて、桝形の中に入ると左側に南内門があります。

南内門

南内門
重要文化財 二ノ丸 南内門

この南内門を抜けると二の丸なんだけど、しっかり囲まれている。高い土塁に囲まれた内桝形って威圧感半端ない。
土塁の上から矢や鉄砲が降り注ぐ様子が想像できる・・・。
枡形って「刀を抜きにくい」ように右折するように作られることが多いけど、ここは左側に曲がるようになっている。
二ノ丸から本丸への導線を考えると左側に作ったほうがよかったのかもしれません。右側に門を作ると本丸まであっさり行けちゃいそうだしね。

この門の2階にも狭間が。1階の左側にある出窓みたいなのの作りがおしゃれ。ここから出入りを見張ることもできたのでしょう。

南内門を通過し、道なりに歩いていくと目の前に内堀。この内堀を左に歩いて行くと桜の時期に有名な「桜のトンネル」があります。
今回はひたすら天守を目指すので右折。内堀を左に見ながら歩いていく。

赤い橋が見えてきた。

赤い色がチャームポイント 下乗橋

下乗橋
下乗橋

ここで藩主と偉い人以外は馬から降りるように定められていたことから通称「下乗橋」
案内板によると、以前、この橋の擬宝珠(ギボシ)は十二支をかたどったものだったそうな。十二支のデザイン、見てみたかった。

下乗橋と天守
下乗橋と天守

これが弘前城名物の赤い下乗橋と天守だ!

下乗橋の上から見る天守は南西を面していて、切妻破風の装飾が美しい。この景色、やっぱりいいねぇ。
弘前城の紹介でよく出てくる桜と一緒に写る赤い橋と天守の写真は、ここから撮影されているものです。
赤い橋と屋根が青緑に光る天守。桜の時期にはピンクも入って、さらに色とりどりな光景になるのね。

本丸石垣と天守
本丸石垣と天守

橋から乗り出してみると、下は水堀になっていて、本丸はがっつり堀と石垣で囲まれているのがわかる。

さてさて、下乗橋から先は本丸。ここは本丸への防御の要所。
ここを無事に突破し、本丸に攻め入るのです。

下乗橋を入った先は広場となっている。

 

角馬出から天守を撮影

下乗橋から渡った先のこの広場は角馬出。馬出ではあるのだけど、広い。ふつうに曲輪サイズ。名称としては武者屯御門跡(むしゃだまりごもんあと)と呼ばれていたそうな。当時は武者門という門もありました。
有事の際にはこの武者屯(むしゃだまり)で大将が軍備を整えて出陣する。

角馬出から天守を撮影
角馬出から天守を撮影

下乗門を渡ればすぐに天守に行けると思いきや、すぐそばに見えるのにまだ天守にたどりつけない。角馬出からさらに土橋を渡って門を抜けて本丸へ向かいます。

と、この写真の奉公から見ると気づきましたか?天守の装飾が違う。

下乗橋から見たときには、屋根に切妻破風(きりづまはふ)という小さな屋根が装飾としてついています。
1階と2階にはそれぞれ出窓のように出っ張っていて、矢狭間や石落としが備わっている。

下乗橋を渡って北西の方角から見ると非常に装飾のないシンプルな外観になる。

そして天守にやっと到着。

弘前城 天守

弘前城 天守
弘前城 天守

ん??? 倉庫?
装飾が一切無くて、横にびろーーんと長い。そして小さいぞ。

感じた違和感は正解で。
藩祖である津軽為信が建築を計画し、2代目藩主の信枚(のぶひら)の時の1611年に城が完成。その時に建てられた五層の天守は落雷により焼失。現在の天守は、1818年に9代藩主の寧親(やすちか)が隅櫓の改築を理由に天守を再建しました。といっても、本丸の辰巳櫓を天守の代用として改築したものなのです。(決して倉庫や蔵の改築ではないよ。)
破風もなく、のっぺりとしてる。天守入口に向かって右側にだけ狭間が作られているのもおもしろい。右側は堀に面しているので、下乗橋に対して横矢がかけられるようになっているのね!
二の丸の辰巳櫓も現存しているので、比較してみると面白いかも。

天守土台の石垣
天守台の石垣

天守台の石垣、いろんな色があるぞ。とてもきれいに加工されているなぁ。でも、入口はやっぱり蔵に入るみたいだ。
入口から入る時の違和感の最大の原因は、天守という最後の要に入っていくのに、防御設備がほとんどないということ。
まぁ、本丸は高石垣に囲まれているし、本丸入口前には角馬出もある。幕末の天守移設の際はロシアの南下政策の対抗からだったというから、ギミック満載に作り直している余裕がなかったということかもしれません。

天守の中は史料館になっていて、藩主の駕籠であったり、古民具であったり、いろんなものが展示されていました。
内容としてちょっと古臭い感じでした。と、普通の人は思うでしょう。
でも、こういうところに意外なお宝があるものです。きれいな刀、磨かれた甲冑のみがお宝ではない!
友人が素通りして歩くなか、逐一立ち止まるワタシ。天守の中は素通りせず、ぜひ展示品一品ずつ、見て行ってくださいな。

天守から見る景色も素敵。

天守から眺めた風景
天守から眺めた風景

曇ってて残念だけど、岩木山が見えます。
そして、手前には天守に来るまでに歩いてきた通りが見えます。右側から画面左にクランク状になっているのがわかるはず
桜の季節はこの写真のほとんどがピンクに染まるのです。

天守の見学を終えて本丸に出てきました。天守をひいたところから撮影。

弘前城 天守
弘前城 天守

窓は連子窓鉄板が張ってあります。おっ。下乗橋の反対側の壁の隅には矢狭間の穴も発見。内堀が狙えるようになっているのね。

案内板によると

本丸御殿御玄関礎石
本丸御殿御玄関礎石

ここは本丸御殿の玄関の柱を建てるための礎石があったところだということです。
この本丸の敷地には日常の事務を行う表、藩主が政務を行う中奥、藩主の日常生活の場の大奥がありました。さらに能舞台や御武芸所などの建物もあり、本丸の7割ほどを占めていたそうな。

現在の本丸
現在の本丸

現在はさんぽにちょうどよい庭園になっています。
桜の時期には大混雑するんでしょうね。
熊本城や名古屋城のように御殿を再建して!とは言わないけれど、せめて八王子城みたいに建物の礎石の跡を示して建物の規模がわかるようにしてほしいなぁ。あるいは、建物があったところだけ緑を敷いてもらうとか。

残念ながら雨が降り出してしまったので弘前城の散策はおしまい。本丸から北の曲輪まで行き、築城当初の正門だったという「北門」にも行ってみたかったなぁ。この北門は重要文化財になっている現存している5つの門のうちのひとつ。津軽為信がいた大光寺城の大手門を移築した門で、現存する城門の中では最大規模だそうです

再び下乗橋から本丸を出て、東側の東内門、東門から脱出しました。

 

東内門

東内門
東内門

こちらも重要文化財の5つの門のうちのひとつ。5つの門のうち「白」の割合が多い門です。取り囲む土塁もいい!

 

弘前城。天守もよかったけど、門に感嘆した城でした。
今回は素通りしてしまったけど、実は二の丸には12基しか残っていない三重櫓が3つもある!
明石城の記事でも書きましたが、明石城では巽櫓、坤櫓がその三重櫓となります。

 

 

今度は混雑を覚悟して桜の季節に来たいなぁ。

グルメ編に続く。

 

 

東京から弘前へのアクセス
JAL、ANA便で東京から約1時間15分くらい。
青森空港からはバスで弘前のバスターミナルまで約1時間。空港からはバス移動が一番楽ですよ。

 

弘前で泊まったホテル


天然温泉 岩木桜の湯 ドーミーイン弘前(ドーミーイン・御宿野乃 ホテルズグループ)
弘前の古くからの飲食店が並ぶ「かくみ小路」にいも近く、夕飯を食べるには困らない場所にあります。かるーく飲んで、夜はドーミーイン名物の「夜鳴きそば」はいかが?もちろん天然温泉の大浴場もあるので、城めぐりの疲れもほぐせますよ!

 

 

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