安土城 「本丸取付台」の発掘のお手伝いをしてきた!

2025年9月にクラウドファンディングサイト「READY FOR」のリターンとして安土城の天主台へ登るための一角である「伝本丸取付台」の発掘調査の体験をしてきました!
発掘調査に携わるのは初めての経験。
織田信長が築いた幻の城・安土城の核心部である天主へと続く重要ルート「本丸取付台」で、実際に土を掘るという貴重な体験レポートをお届けします。

READY FORで寄付して安土城の発掘体験に参加!

今回の発掘体験の参加はクラウドファンディング「READY FOR」の企画によって実現したものです。

滋賀県立安土城考古博物館が、幻の安土城復元PJの一環として、織田信長/戦国の魅力発信拠点になるための展示リニューアル実施…

滋賀県では「幻の安土城 復元プロジェクト」を実施していて、そのうちの企画として安土城考古博物館の展示リニューアルを計画。その費用の寄付をREADY FORで募りました。

リターンはいろいろあり、

  • 平成の大調査をもとにした安土城満喫ツアー
  • 令和の大調査の発掘調査員による現地解説
  • 安土城の発掘調査のお手伝い
  • 安土城からの出土品の整理調査のお手伝い
  • ちょっと贅沢な博物館観覧(弥生・古墳編、戦国・城郭編) など

どれに参加しても面白そうだったのだけど、

 

安土城の発掘調査のお手伝い!?

 

普通にサラリーマンをやっていて城跡の発掘に携わる機会なんて無い。
ましてや安土城だなんて!

即効、寄付したよね。
しかも税制優遇がきく「ふるさと納税」の対象にもなる。メリットしかない!

安土城の発掘について

安土城では2025年7月30日から12月まで、安土城の本丸にある天主台へ登るための一段高い「本丸取付台」の東側を発掘していて、今回はその部分の発掘体験でした。

こちらに調査計画についての資料が掲載されています。

本丸取付台にもわかりやすい案内が掲示されていました。

安土城 令和7年の調査概要 現地の案内より
安土城 令和7年の調査概要 現地の案内より

 

ここで安土城の発掘調査についてまとめてみると・・・

安土城 発掘調査について

・令和5年度から「令和の大調査」を実施
・令和5、6年度は天主台の一段下の「本丸取付台」の北東側を調査
・令和7年度は本丸取付台の東側(図の赤枠の部分)を調査
・令和8年度は伝二の丸跡の北東隅と、天主台の北西面から南東面の4面を調査

ということで、「令和の大調査」というプロジェクト名の通りに大掛かりな発掘調査が行われています。

本丸取付台とは?

安土城の本丸跡から天主台へ登る途中にある一段上がった場所で、現代的に言うと踊り場?
これまでの調査では建物跡の礎石や石列が発見されていて、天守へ向かう際になんらかの演出がされていたのでは?と期待されています。

今回の発掘体験は、普段は立ち入ることができないこの「本丸取付台」の調査現場に入り、専門の学芸員や調査スタッフの方々の指導のもと、実際に発掘作業をサポートするというものです。


まずは安土城へ向かう道中からレポしていきます。

 

安土城へ

いつもは安土駅の目の前のレンタサイクル屋で自転車を借りて周るのですが、この時は全国的に天気が悪く、直前に行っていた山陰地方では線状降水帯が頻繁に発生し、10分単位で雨が降ったり止んだりの繰り返しという悪天候の合間の行軍。

安土駅に着いたときは晴天でしたが、雨雲レーダーを見るとちょうど発掘最中に雨が降る予報だったので、駅からは歩くことに。集合場所となっていた安土城のふもとにある「城なび館」まで田んぼの中を20分歩いて向かいました。

安土城までは最寄りの安土駅から歩ける距離ですが、登城口からはひたすら石垣を登っていくので、体力を温存したい方はレンタサイクルがおすすめです

 

農道を歩いて行くと左側に安土城のある安土山、右側には観音寺城がある繖山(きぬがさやま)を眺めながら進むことになる。
農道を突っ切って信号を渡ると、城なび館が見えてくる。

安土城 城なび館

城なび館は手前にお土産やグッズ売り場があり、奥は有料の休憩スペースになっている。トイレや自販機もあるので登城前の準備で立ち寄るけれど、奥の有料休憩スペースに入ったのは初めて。天守の模型やこれまでの発掘調査の展示を眺めつつ涼ませてもらいました。
9月だというのにとんでもない暑さで熱中症気味だったので、城なび館があって本当に助かった!

安土城 城なび館

  • 住所:滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6381
  • アクセス:JR安土駅から徒歩20分
  • 営業時間: 9:00~17:00 城なび館の外にあるトイレの使用も17:00まで
  • 料金:奥の休憩スペースは200円
  • トイレ:あり(城なび館の外にあるので無料で利用可)
  • 駐車場:あり(安土城の駐車場)

安土城 本丸へ

集合時間の13:00に滋賀県の文化財保護課の職員の松田さんと合流し、一緒に登城する。
この日の発掘体験は私を含めた3人だったのですが、全体で50人の参加があったそうです。

入口で入山料を支払い、パンフをもらってイザ、登城!

安土城 縄張図
安土城 案内板の縄張図

パンフにも簡単な登城経路が載っているけれど、大手門跡の手前にある案内版の縄張図のほうが登城路が書かれていて全体像と規模感がつかみやすい。初めて行く人はスマホで撮影して行くことをお勧めします。自分がどこにいるかわかるので、長い石段がどこまで続くか?の覚悟ができます。

安土城にイザ、登城!
安土城にイザ、登城!

安土城には真夏にも来たことはあるけれど、9月とはいえ気温も湿度も高く、体力が奪われる・・・。

7月に友人と来た時には、あまりの暑さと石段のしんどさに、友人はこの石垣の中腹まで登ったにも拘らず、杖を借りに料金所まで戻っていました。湿度の高い夏は水分を取りながらゆっくり登ってください。

途中でこれまでの発掘調査の結果を聞きながら登れるというとても贅沢なひととき。

本丸に到着。取付台へ上ります。

安土城 本丸から取付台へ
本丸から取付台への石段

 

令和5年・6年 天主取り付き台の発掘調査について

本丸から天守に至る一段高いエリアを「本丸取付台」と呼んでいます。
本丸からの登り口(南側)と、伝搦手口や八角平に続く2つの虎口があって、北側は整備されていないので侵入禁止。

令和5年、6年では下記の図の黄色の部分が調査されました。

安土城跡令和7年度の調査 図2整備計画全体ゾーン図・図3天主台周辺地区 発掘調査地位置図より
安土城跡令和7年度の調査 図2整備計画全体ゾーン図・図3天主台周辺地区 発掘調査地位置図に追記

令和6年度の調査については、東近江市の公式Youtubeチャンネルがあったので、こちらがわかりやすいです。

※「本丸取付台 令和6年度の発掘調査」については1分53秒から流れます。

 

そして今回、令和7年度は「R7」で記載されている赤い部分が対象。私が発掘体験に参加したのは赤い丸でマーキングされた周辺です。

 

安土城 本丸取付台の発掘調査をお手伝い!

発掘体験の前には担当の松田さんの案内のもとに天主台の発掘調査結果を説明してもらえるという贅沢な時間を過ごす。ありがたい。

安土城 本丸から取付台へ
取り付け台から天守への石段を上がる

本丸取付台から天主台への石垣は立ち入りが制限されていたので、写真のこの範囲しか歩けないですが、天主台のすぐ右側(東側)のゴロゴロと崩落している石垣が見える。
この崩落した石垣についても説明してもらいました。(上記Youtube動画の5:00頃に出てきます)

安土城 天守台の礎石
天主台の礎石

天守は穴倉構造で、穴倉がある地下から上がっていく構造だったと考えられている。
一定の距離間で礎石が並んでいるが、中央には礎石が無いことが発掘調査で判明し、吹き抜けだった説や仏教でいう「宝塔」があったのでは?説など諸説ありますが、はっきりしていません。

安土城 天守台への階段から取付台を眺める
天主台への階段から取付台を眺める

両サイドのオレンジで囲まれたエリアが発掘中の場所。
発掘が終わったのちに露出している部分は撮影は可能ですが、発掘中の写真の撮影はできません。
遠目でどこを発掘しているかがわかるように、天主台の石段から撮影してみました。

取付台は平成の時代にも発掘調査をされていて、今回の調査はその時の礎石の位置などを再確認したうえでのさらなる発掘とのこと。

天主台の東側の取付台から出てきた礎石や石列を見せてもらうとしっかりと線を描くように並べられていたり、その席の中には焼け焦げた跡や、焼けた故にひび割れしているものもあったりと、生々しい。遥か昔のことではあるけれど、「焼け焦げた跡」は安土城の歴史と相まって、とても臨場感がありました。

 

本丸取付台を発掘するぞ!

ここからは写真はないので文章だけで報告します。

発掘中の写真撮影は厳禁!
発掘完了後の現地説明会などで公開されている遺構や、発掘が終わったのちに露出している部分は撮影しても構わないのですが、今まさに発掘中の遺構の撮影はNGであるため、写真の掲載はありません。
また、現地説明会でも撮影は可能ですがネット公開はNGという場合もあります。
今後、結果が報告されると思うので、それを楽しみに待ちましょう♪

スタッフの方から道具の扱い方や注意点について教えてもらい、作業開始です。

発掘調査で使う道具とは?

まずは発掘調査で使う道具類を説明してもらいました。
すべてではないものの、滋賀県文化財保護協会のサイト「ヨミモノ シガブン シンブン」に道具を説明しているページがあったので掲載しておきます。

シガブンシンブン

遺跡関係のテレビニュースでは、現場で作業員さんたちがハケと竹ヘラで慎重に遺物を掘り出している情景をご覧になったことが多い…

持ち場に案内してもらい、さっそく削っていく。
「6 手ガリ」で土の表面をなでるように少しずつ土を削っていく。削るだけだと何があるか気が付かないのでブラシ(はけ)でまわりをきれいにして変化が無いかを確認していきます。
たまった土は「6 ガリで集めて」、プラスチック製の手箕(てみ)という大きなチリトリのような道具に土をいったんためる。手箕に土がたまってきたらざーっと土嚢のような袋へ。削った土に何が入っているかわからないので、削った土はそこらへんに撒いて捨てるわけでもなく、いったん貯めておく。

「発掘」という言葉の「掘る」という文字とは違い、「表面を薄く削る」作業を慎重に繰り返していく。
何があるのかわからないので恐る恐る土を削っていったのだけど、意外と使ったのは枝切りばさみ!

というのも、取付台には木が生えていて発掘調査のために切り倒していて、根っこが残っている状態。
2016年に私が行ったときはこんな状態でした。

安土城 本丸から撮影した天守取付台と伝三の丸(2016年)
本丸から撮影した本丸取付台と伝三の丸(2016年)

写真の左側が本丸取付台で、調査前は木が生えていました。

 

安土城 天守取付台から天守台に登る石垣を撮影(2016年)
本丸取付台から天主台に登る石垣を撮影(2016年)

たとえ木を切り倒したとしても取付台にはいたるところに木の根っこが露出している。
この根っこが厄介で、枝切りばさみで根っこを切りながらの土の表面を削りとることを進めて行かなければならない。
枝切りばさみって力がいるのよね。

ただただ、無心に削っていく

削り進めていくと土の色が変わってきたりして、その都度、「進めて大丈夫か!?」と不安になる。
おっかなびっくり削っていると、担当者の方が声をかけてくれて「まだこの下の層まで掘れそうですね」という言葉に安心しつつ、ひたすら削る。

 

何も出てこない。

それでも削る、削る、削る。

何も出てこない。でも楽しい。

 

参加者3人は黙々と表面を削っていくわけです。

とはいえ真夏の暑さの安土。休憩は取らねばならない。
それでも休憩を取りたくない参加者。
こんな機会、二度と無いかもしれない。しかも安土城だよ!?

そこで少し雨が降ってきて、雨除けをするために一時的に荷物を置いてあったタープの下で休憩をすることに。

この休憩がよかった。
それまで黙々と土を削っていたのだけど、同じく作業をしていたシルバーボランティアの諸先輩方と会話が生まれて面白かった!
休憩後には「こうやれば良いんだよ」と教えてもらいました。けっこうがっつりガリを入れるのね。
右手でガリ、左手に手箕を持ち、削り取った土をほうきで掃いたゴミを”チリトリ”に収めていくようにして、ガンガン土を集めていくやり方を先輩方に教えてもらいました。
初心者でビビりな私からすれば、先輩方はかなり大胆にガリを入れてたのだけど、「ここまでは掘っても大丈夫」と判断できるのもまた、経験によるものなんだろうなぁ。

 

雨雲が避けていく安土城

余談ですが、安土城は不思議なことに雨が降らない。

今回の参加にあたり、山陰・山陽地方の線状降水帯の発生を筆頭に関西でも雨が降る日が多く、心配になって前日に文化財課に「雨の予報だけど明日の発掘調査体験は実施しますか?」と問い合わせました。
ちなみに前日には松江にいて、大雨がひどくて松江城の天守どころか本丸すら閉鎖されるほど。その日中に彦根に移動し、翌日の発掘調査に備えるという日程でした。
もし大雨だと安土城の発掘調査どころか観光もできない! 発掘体験の中止が決まったら松江から東京に帰ろうかと考えていました。

その時の回答は「今日(前日)も実施できましたし、大丈夫だと思います。やるかやらないかは当日決まります」とのことで、これだけ雨が日本各地で降っているなら、中止宣言した方が良いんじゃない?と思ってました。

当日は朝から昼にかけては晴天でさらに暑く、だけど午後から大雨というめちゃくちゃな天気予報。
それでも安土城は時々は軽く降ったものの、なぜか雨雲が安土城を避けていく。

安土城周辺の雨雲レーダー
安土城周辺の雨雲レーダー

スマホで天気を確認するたびに安土城の周りだけ雨が降っている、という状態でした。

担当していただいた方も「安土城だけ降らないことが多いんですよ」とのこと。
AIで調べてみたら、標高199mの安土山の地形と琵琶湖からの風によって科学的に説明できるそうな。
これを信長が気づいていたとしたら、すごいぞ。

 

そして発掘体験は終了。結果は

何も出てこない。

よいのです。
発掘とはこういう作業の積み重ね。
発掘の現場を体験できただけでも良い経験でした。楽しかった!

料金所から登り始めて天主台や天主台東側の発掘調査結果について説明を受けるのが1時間。
発掘調査体験が間に休憩を挟んでの2時間。
写真や動画で伝えることができないのが残念でしたが、3時間の貴重で素敵な体験でした。


 

帰り際に撮影した本丸から撮影した本丸取付台。

安土城 取付台 ここを発掘したのです!
安土城 本丸取付台

 

写真の中で「ここらへん」と書き入れたところ、ここの発掘のお手伝いをしたんだよぉぉぉぉ!

安土城 本丸から眺めた天守取付台と伝三の丸
本丸から眺めた本丸取付台と伝三の丸

これから安土城に行くときには「あそこを発掘体験したんだよ!」と自慢することにします。

こういうことの積み重ねで調査は進んでいく。
改めて作業している皆さんを尊敬。です。

 

発掘すればするほど謎が深まる安土城

2025年度の発掘調査について、2026年3月に報告会がありました。安土だけでなく東京でも開催されました!
私も参加したのですが、開口一番で「調査すればするほどよくわからなくなる」と話されていたのが印象的でした。
あまりにも規格外で奇想天外すぎて、発掘に発掘を重ねて行かないと理由付けがしにくいんだろうな。

もうひとつ。ここで建物が完結するんだろうなぁというところに建物の区切りとなる礎石や石列の配置が無い場合もあり、必ずしも「曲輪の中で建物が完結する」わけではなく、高さの異なる曲輪との間を行き来するような建物があったのかも含めて調査していかねばならないとのことでした。

本丸取付台の調査はこれでいったん終了し、2026年は伝二の丸跡の北東隅と、天主台の北西面から南東面の4面を調査するそうです。
これまた発掘調査結果の報告を聞くのが楽しみですね。

安土城は謎だらけ。
発掘調査報告会の資料でも、説明を受けて私がメモした内容を見ても「という可能性はあるが、よくわからない・・・」という表現がよく出てきて、全体像をつかめるのはまだ先のよう。
だからこそ安土城に歴史のロマンを感じ、魅了されてやまないのです。

安土城

  • 住所:滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6383(城なび館)
  • アクセス:JR安土駅から徒歩23分。
  • 営業時間:8:30~17:30(入場受付最終16:00) 年中無休
  • 料金:700円
    城なび館の有料休憩スペース利用は200円
  • トイレ:城なび館にある。入山料を払った先には無いです。
  • 駐車場:あり

ABホテル彦根
安土駅の周辺にホテルは無いので、その後の観光のことも考えて彦根に2泊しました。
ABホテル彦根はなんとキャッスルビュー! 彦根城の天守が見える! ライトアップした天守は素敵でした。
朝食付きのプランにしましたが、朝食ブッフェで出てきた手作り豆腐がおいしかった!
1日目はパン食、2日目はご飯。どちらもおいしく、コスパの良いホテルでした。

 


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